私の知人Mさんの話になります。   Mさんと18年来の付き合いがある80歳を過ぎたおばあちゃんが 体調不良により緊急入院した。と聞きました。   Mさんは一人暮らしのおばあちゃんの事を 日頃から「もう一人の母親のようだ。」といい 18年間の長い間、いつも身体を心配して時間を見つけては、 おばあちゃんの家に顔を出していたそうです。    
  ここ最近、「腰が痛くて。」と口に出すようになり、 常に心配をしていたMさんは まめに電話をかけたり、おばあちゃんの体調が良さそうな時は 一緒に外出したり食事などをして、身体を気遣いながら楽しく過ごしていたそうです。     Mさんいわく、40歳近く離れているのにまるで友達のようで、けど母親のようで 良いことも、悪いことも話の出来る良き相談相手だったそうです。   おばあちゃんもMさんと同じで、病院に入院してからもいつもMさんの身体を気遣い 常に心配してくれていたそうです。 おばあちゃんには子供がいなかったせいか、Mさんの事を本当の子供のように 思っていたのでしょう。おばあちゃんとMさんの間柄はおばあちゃんの親類の方も 本当の親子のような認識でいたようです。   おばあちゃんは、MさんにMちゃんが悲しむから、私は絶対に死なないから・・」と 日頃から笑って話していたそうです。     その何日か後、悲しくもおばあちゃんは天国に旅立ちました。       私とMさんとで、病院へおばあちゃんを迎えに行き、 自宅まで一緒に帰ってきました。   おばあちゃんの自宅はだいぶ物で溢れていました。 それは、おばあちゃんの体調がすぐれず、思い通りに部屋の片づけが出来なくて 相当、身体がきつかったのではないかと私は思いました。   Mさんは「心からの理解者がまたひとりいなくなってしまった。」と 涙ながらに言っていました。     最近、核家族化が進むご時世に、他人であるMさんとおばあちゃんの 心でつながった、本当の親子をも超えるお互いを思いやる気持ちを感じることが出来ました。   心温まる、そして涙の出る悲しい出来事でした。